「どこでも好きな音を鳴らしたい」
ギターリストにとっては永遠のテーマではないでしょうか?
少なくとも僕にとっては長年のテーマでした(笑)
アンプを持って行けよ!と言われればそれまでですが、JC-120などスタジオやライブハウスの置きアンプに対し、ギター用プリアンプで何とかできないものか…
何年か前にも試したことはありましたが、諦めていました。
今回、ひょんなことから再び挑戦してみよう!と思い、試したギター用プリアンプ、フロアタイプ・プリアンプがこちら。
- Koch Pedaltone
- Matchless Hotbox
どちらもかつて、大きさのあまり…導入することはないと、自分の環境で試さなかった物ですが今回、友人の協力の元、弾く機会をいただきました。
今回の検証にあたっては、
- アンプのインプットに繋いで使えるか?
- リターン(エフェクトループ)に繋ぐとどうなのか?
- どこでも安定したサウンド、好きなサウンドが出せるのか?
に焦点をあて、トランジスタアンプ(JC-40)、真空管アンプ(Fender Vibroverb)でチェックしました。
ペダルレビュー
両モデルともなかなかな重量感があり、特に「Koch Pedaltone」は巨大です。
デカい・重いは正義と言われています(僕の周りだけかもしれませんが笑)が、どちらも可搬性は低いです。
また両モデルともにペダルを繋ぐと、ペダルをスルーした”バイパス音”はなく、繋いだだけでプリアンプとして機能します。
つまり、エフェクトOFFでもプリアンプペダルのクリーンサウンドが鳴る仕様です。
「Koch Pedaltone PDT-4」の仕様について
今回、検証したモデルは「Pedaltone 2」ではなく旧タイプのもの。
「Pedaltone 2」はソロ・ブーストチャンネル部が4ノブ仕様です。
この3ノブ仕様の場合、右端のソロスイッチを踏むとかなり音量が上がりますが、4ノブ仕様はマスターボリュームが追加されたことで、踏んだ時の音量を調整できるそうです!
「Pedaltone」ですがフロアタイプ・プリアンプとして、必要と思われる機能は備わっています。
エフェクトループはもちろん、各種出力別アウトプットジャックも完備。
エフェクトループもリバーブやディレイを繋いでチェックしましたが、イメージ通りのかかり方をするなど、ばっちり使えました。
真空管の交換もカバーを外せば簡単に交換できるのも良いですね。
4つあるフットスイッチですが、
- クリーン(CH1)/ドライブチャンネル(CH2)の切り替え
- CH2のブースター
- パワーアンプシミュレーション
- ソロ・ブースト
とわかれており、各セクション別に設定ができます。
クリーン、ドライブチャンネル共にイコライザーは12時の位置でも良い感じ。左右にツマミを振ってイコライジングしても音が破綻しません。すごく扱いやすい。
で、個人的には一番左のクリーン/ドライブチャンネル切り替えできるセクションだけ使いたいなと。
というのも、あくまで基本のクリーン、ドライブサウンドを作れればよかったからです。
音については後述しますが、できればこの使いたいセクションだけ、音をそのままで抜き出したモデルがあれば…と思いました^^;
「Matchless Hotbox」の仕様について
今回弾いた「Matchless Hotbox」はシリアル1000番台のマーク・サンプソン期、マッチレスが倒産する前の初期型。
ポットデイトからすると95年に生産された個体と思われ、コントロールパネルに「Hotbox」の印字がない頃の貴重な物。
仕様はKochと比べるとシンプル、入出力もギターからのインプット・アウトプット端子しかありません。
クリーンチャンネルはボリュームのみ。他のツマミ(ボリューム、トレブル、ベース、ゲイン)はドライブチャンネルにのみ作用します。
鏡面仕上げゆえ、指紋の汚れは気になりますが…電源を入れると筐体横の「Matchless」ロゴ等が光るなどカッコよさは抜群です。
イコライザーはトレブルを上げるとベースがカットされる、ベースを上げるとトレブルがカットされるといった感じで、各々を微調整することで音を作っていきます。
中身も見てみましたが…たまらんですね。
コンデンサーにもマッチレスの名前が刻印されている、アンプと思わせる大きなパーツなどなど。
心配な点が一つ…とにかく使用していると筐体が熱くなります…放熱用の穴は空いていますが、あまり機能していない気が(笑)故障しないか不安になりますね、、
サウンドレビュー
両モデルともにサウンドチェックする際には基本、アンプは「Roland JC-40」を使用しました。
アンプのリターンだけでなく、インプットに繋いだ時でも真空管プリアンプとして有用か?チェックしていきました。
先に言っておきますと、さすがに限界はあります。好きな音を出したければ、アンプを持っていく方が確実です。
…が、今回の検証で、ある程度は環境に左右されず鳴らせる可能性は見いだせました。
まず共通していえることが、このクラスのフロアタイプ・プリアンプまでいくと、さすがに次第点以上のサウンドが得られました。
またドライブチャンネルもピッキング、ギターボリュームに対して、ゲインコントロールも効きます(Kochのほうがより敏感でした)。
動画も撮りましたが撮りきれない、伝わりにくい部分ですが、弾き手側からすると、弾き心地やコンプレッションなど真空管の恩恵も感じることができました。
「Koch Pedaltone」を弾いて感じたこと
「Koch Pedaltone」を弾いて感じたこと、それはとにかく音作りがしやすかったことです。
音色も無機質に感じる人もいるかもしれませんが、フラットなキャラでエフェクターノリも良いと感じました。
イコライザーは12時の位置でも使えるサウンドが鳴りますし、JC-40のインプット、エフェクトループのリターンに入れても大きく音の印象が変わりませんでした。
厳密にいうと変わりますが、サウンドキャラクターも残りますし、イコライジングも極端に変えなくてもよかったです。
リターンに繋いだ時の方が音圧感もあり、大きな音で鳴らした時は迫力がある、ジャズコらしさは薄れるため、リターンに繋ぐほうが良いのは確かです。
ただ、アンプのインプットでもプリアンプとしての恩恵は十分に感じました。
ちなみに真空管アンプのインプットに繋ぐとこんな感じ。
言ってしまうと何ですが、パワーアンプ部が真空管であるほうが、より真価を発揮するするのは当然として、プリアンプとしてはJC-40の時でも活きると感じました。
- どこでも安定したサウンドが鳴らせる
- とにかくどこでもパッとイメージする音が鳴らせる
この「Koch Pedaltone」はそんなフロアタイプのプリアンプでした。
音に関しては好みがあるので一概に良し悪しはいえませんが、ドライブチャンネルの音も粗すぎず、チューブコンプレッションを感じる歪み。
僕の場合だと「Pedaltone」の前に好みの質感が足せる、歪みペダルを併用して使いたいかも。
例えば、ザラつきがほしければ手持ちのフルドライブ2を使うといった感じ。
それとリターンに繋いだ場合、やはりある程度の音量を出さなければ、こもる、曇った感じに聴こえてしまいがちです(そう感じるのは僕だけですかね?笑)。
そんな時に活躍してくれるのがバッファーペダルです。
僕の場合は「Mythos Pedals Mjolnir」を繋ぐことで、音に立体感を持たせてくれる、曇った感じを解消してくれました。
Pedaltone、かつてはフロアタイプ・プリアンプの決定版と言われていたのは伊達じゃなかったですね。
「Matchless Hotbox」を弾いて感じたこと
「Matchless Hotbox」はPedaltoneと比べるとリターンではなく、アンプのインプットに繋いだ方が僕は好きな感じで鳴ってくれました。
リターンが使えないわけではなかったのですが、イコライザーの調整他、かなりセッティングを変える必要はありました。
で、このHotboxを繋げば、どこでもマッチレスサウンド、DC-30の音が鳴る!と言えば、そんな都合の良い話はなく、それらしく鳴ってくれます。
とはいえ、僕も数台のアンプでチェックしましたが、きちんと雰囲気を出してくれました。
トランジスタアンプでもこう…艶やかさとコンプレッションのかかり方が真空管プリアンプとして機能していると僕は感じました。
またトランジスタアンプだけだとファズはなじみにくい時がありますが、Hotboxの前でファズフェイスを踏むと馴染む&相性も良かったですね(上の動画:2:00あたりでチェックしています!)。
ドライブチャンネルは扱いにくいという情報も見たことがありますが、トレブル、ベースを上げない状態からセッティングすると良いかも。
僕はギターボリュームを絞った時、クリーンな音になるよう、だいたいゲインは9時~10時ぐらい、トレブルとベースは上げないポジションから音決めしました。
Pedaltoneと同様、やはり真空管アンプに繋ぐ方が良いのは確かですが、個人的にはJC-40でもこれだけ鳴らせた、しかも好きな出音だったのは嬉しい発見でした。
もし、Vibroverbで鳴らすなら、思い切ってドライブチャンネルを歪みエフェクターっぽく使っても面白そうでしたね!
真空管を変えれば音も変わる!好みの音を探すのも楽しみ
両モデルともにプリ管(12AX7系)が2本搭載されていますが、この真空管を変えることで音も変わります。
これから紹介する動画はヘッドホンが推奨、分かりにくいかもしれませんが紹介しておきます^^;
両モデル、各々に僕が良さそうと妄想した真空管でチェックしたため、各々に違う真空管を交換しています。ご了承ください…
Pedaltoneには僕が好きなEi製のもので交換、チェックしてみました。交換したのはドライブチャンネルのみです。
ぼくはEiの白文字(Ei ECC83)とエリート(Ei Elites 12AX7)の組み合わせで鳴らすのが、歪みの質感がちょうど良い粗さと密度感があり、好みでした。
もともとPedaltone自体、ローがしっかり鳴るためか、そこまで出音が重たくならない真空管をチョイスしたほうが、僕は好きでしたね。
Hotboxはデフォルトでのっていた「Sovtek」の他、よりマッチレスっぽくなると良いな~という希望を込めて「JJ」、あと僕の好きな真空管(Raytheon&Ei ECC83)を組み合わせてみました。
結果、どの組み合わせでもよかったのですが…グラッシーなサウンドなら「JJ」、クリーンもドライブチャンネル扱いやすそうな音なら「Sovtek」。
「Raytheon&Ei ECC83」はマッチレスサウンドとは少し離れてしまいましたが…ロックな感じで、個人的にはこの組み合わせもアリでした。
もし、PedaltoneやHotboxをお持ちの方なら、真空管交換は試すと面白いかと!
検証にあたり、コンパクトサイズのプリアンプも試してみた
で、実は今回の検証にあたり、他にコンパクトサイズのプリアンプも試しました。
- Neunaber Audio Effects Neuron
- ALBIT A3GP MK2
どちらも音が悪いわけではなく、サイズ、仕様面は申し分なかったのですが、Kochなどと比べると…もう少し真空管ニュアンスが欲しかった…。
きっと真空管搭載のペダルやパワーアンプと併用すれば好みに近づくのでは?と予想しています(^^)
僕も後日、このオレンジのパワーアンプ(Pedal Baby 100)を弾きましたがへたったスタジオアンプを使うよりも安定した音が出せると実感しました。またエフェクトノリも良かったです^^
特に「A3GP」はセンドリターンもついており、コンパクトにシステム構築できるので上手に使えたら最高でしょうね!
ちなみに「A3GP」はMK2以降、アンプのインプットに繋げられるよう、アウトプットレベルが調整できるようになっています。また最新モデル「A3GP MK2 Plus」はさらに音もチューニングされ、出音が柔らかくなっているとか…もしかすると、求めていたサウンドに近くなるかも…と気になっています( ̄▽ ̄)
パワーアンプもやっぱり大切
この記事を書いてからパワーアンプも探すようになりまして。オレンジのPedal Baby 100も考えていましたが、フーチーズの村田さんの動画がきっかけで気になるパワーアンプを見つけました。
動画で紹介されているのは「Fryette PS-2」はアッテネータとパワーアンプが合わさった機材。
Fryetteは元々VHTであり、VHTのパワーアンプにも定評があるブランドです。
で、より詳しいことを別件でお世話になっているオカダインターナショナルさんにお聞きし…手に入れてしまいました^^;
このPS-2、アッテネータとしての音も良さそうなこともありましたが、購入の決め手になったのは以下の点です。
- パワーアンプとして素直な音がしそうだった
- イコライジングができる
- センドリターンがついている
先ほど紹介したマッチレスプリアンプと組み合わせて鳴らしてみた時、これら全てを全て満たしてくれることがわかりました。
この動画ではプリアンプにマッチレスのHOTBOX、パワーアンプにPS-2、PS-2のセンドリターンにZOOM MS-70CDR(リバーブサウンド)を繋いでいます。
やはり…パワーアンプも大事だなぁ…と痛感しました…
HOTBOXのドライブチャンネルを繋いだ際、どうしてもこもりがちになります(アンプのリターンに繋いだ時も)がPS-2のイコライジングのおかげで良い感じに補正できました。
また空間系(リバーブ等)もセンドリターンに繋ぐことでよりナチュラルにかけることができます。
プリアンプを考える時にはパワーアンプも一緒に考えてもらうことで、より安定したサウンドを小さなシステムで構築できるのではないでしょうか^^
キャビネット(スピーカー)もかなり重要ですので、お気に入りのものを持ち運べれば良いのですが…難しい場合でも普段利用しているスタジオやライブハウスにあるキャビ(マーシャルの4発キャビ)で音作りしておけば、より安定した音作りができますよね!
まとめ
Koch Pedaltone、Matchless Hotbox、共に当初の目論見はクリアしてくれるサウンドクオリティでした。
ただ残念なことに…デカくて重い…時代に逆行するようなペダルたちですが…(笑)
しかし、評判の良さはまんざらでもなかったことを確認できました( ̄▽ ̄)貸してくれたご友人の方々、ありがとう!
で、ぼくが使うならどっち?なのですが、出音の好み、大きさ、シンプルさ等々から「Hotbox」でしょうか!
…となりますと、気になるのは「個体差はあるのか?」ということ。
そこでシリアル、見た目の近い「Hotbox」を手に入れました。
中身を見る限り、ほぼ一緒。手に入れた個体はシリアルが若かったこともあり、ポットだけ違いました。
ポットデイトを見ると異なるポット(3つ)は95年でもやや製造された時期が新しかったので、途中で使われるポットが変わったのかも。
肝心の音はいうと、真空管も入れ替えしてチェックしましたがそこまで変わりませんでした(笑)
…。
今さらコレ?とも言われそうですが、ひとまず…プリアンプペダル探しは落ち着きました…と、この記事を書いているタイミングで気になるブツが……。
フェーダーがカッコいい…しかもプリセット?によって動く!?という…
かなり面白そうなプリアンプ、試してみたいですね^^
コメント
A3GP mk2はどのマーシャルのリターンに突っ込んでも大体同じ音が作れるので重宝してます。
たしかにJCだとちょっと違う音にはなりますが、
crossを左に振り切る&クランチchで歪むギリギリの設定だと歪みのノリがよくてウォームなチューブっぽいクリーンが作れるかと!
プリアンプ系のレビューは少ないのでとても参考になりました~
Chase Bliss気になりますねw
こちらこそコメントありがとうございます!参考になります!今回は基本JCで…となったので、こんな感じでした^^;
Chase Bliss、気になりますよねwデモ動画見ながら悶々してますww