2020年最後に新ブランドが登場!?NAMM2020でも話題となったペダル「Stomp ACE」が「BAC Audio」名義で発売開始されました!
「BAC Audio」はざっくり言いますとエース電子工業、Rolandの創業者であった梯郁太郎氏のご子息である梯郁夫氏を中心に設立されたブランドです。エフェクター好きな方ならこれを聞いただけでワクワクするはず。
今回、その「BAC Audio」様から発売前の機種を含む全9種類を試す機会をいただきました!
全9種類をサウンドチェック、動画も撮りました!ぜひ最後までご覧ください!
ペダルレビュー
「Stomp ACE」シリーズで発売されるのは以下、9種類。
「Overdrive」だけはアナログエフェクター、他はデジタルエフェクターです。
この9機種の中で見慣れない機種名で言うと「Rotorus」です。これは「BAC Audio」が独自で命名されたものであり、以下のような説明がありました。
信号処理によって前後左右に⾳を定位させるバイノーラルプロセッサーのEffector。
なんか凄そう…これを聞いただけでワクワクしてしまいました。では「Rotorus」はどんなサウンドか?後ほどレビューで紹介いたします!
入出力は「Overdrive」「Compressor」「Filter」を除き、ステレオ入出力ができます。
またアップデーターソフトからプリセットのインポートが可能であり、プリセットデータは公式サイトからダウンロードできます。
僕も実際にプリセットデータを入れ替えしてみました!後ほど紹介いたします!
独自機構「エフェクト・モーフ」とは
「Stomp Ace」最大の特徴と言えるのが「エフェクト・モーフ」と呼ばれる機構です。
フットスイッチ下にあるコントロールパッド(モーフ・パッド)には「独立踏力センサ」が搭載されており、踏むことで設定したつまみのパラメータ値を呼び出すことが可能。
さらに踏み込む強さでリアルタイムにパラメーターを変化させることができます。
エフェクトパラメータは本機のコントロールパッドとフットスイッチ(メインスイッチ)でエディットモード(エフェクト・モーフ設定モード)に入ることができ、設定できます。
- モーフ・パッドを踏んだまま、メインスイッチを2秒以上押す
- エフェクト・モーフ設定モードに入るとLEDが青色に点滅
- モーフ・パッドを踏んだ時のエフェクト音にツマミを回し設定
- メインスイッチを押し音色をセーブ
- モーフ・パッドを踏んでいない時のエフェクト音にツマミを回し設定
設定モードでツマミを回さない場合はモーフ・パッドに設定されないため、設定する際はツマミを回しましょう。
モーフ・パッドを踏むとLEDが青色に変わり、踏む強さで設定したエフェクト音の効き、LEDの明るさも変わります。
アイデア次第で自分だけのエフェクティブなサウンドが作れます。「エフェクト・モーフ」の使い方は後ほど「Filter」の紹介レビュー動画で詳しくご説明いたします!
外部電源はUSBでも供給可能、極性に関係なく使える!
「Stomp ACE」シリーズは電池で駆動しませんが、外部電源の供給方法は様々です。
外部電源はACアダプターだけでなく、「USB電源アダプター」でも駆動します(定格出力5V、1A以上)。
ACアダプターは5~15V、250mA以上のセンターピンΦ2.1mmのプラグであれば、センターマイナスだけでなくセンタープラスも使える、つまり極性に関係なく電源供給可能です。
管理人も極性を間違えてペダルを壊した経験がありますが…そういった心配がありません!笑
この仕様も他にない「Stomp ACE」独自仕様といえるでしょう。
サウンドレビュー
どのモデルもプレイヤーのセンスが問われる機種が多い印象。
エフェクト・モーフ機能があることはもちろん、ツマミも独特、個性的な効きをするモデルもあるため、発想次第で独自のサウンドが作れます。
「Stomp ACE」ペダル全般的に言えることとして、クリアで(輪郭がハッキリとした)メリハリのあるサウンドであること。
言葉で説明するよりも実際に音を聴いてもらった方が早いかも…と思い、全モデル、僕の環境ではありますが動画を撮ってみました。
では動画と併せてレビューをご覧ください!
Stomp ACE Overdrive
サウンドキャラクターはアンプサウンドを活かしながらも、ややタイトで切れ味のあるドライブサウンドに感じました。
手元(ギターボリューム)への追従性も良好、ギターボリュームを絞った時もこもりにくかったですね。
エフェクト・モーフ機能はなく、コントロールパッド(モーフ・パッド)を踏むと、ゲインブースターとして機能します(PUSHは独立しておらず、単体では使えません)。
ブースト加減はPUSHツマミで設定します。このPUSHツマミ、効果もわかりやすい効きをしてくれます!
「PUSH」によるゲインブーストは単にゲインが上がるのではなく、高域が持ち上がるため、抜けの良いブーストサウンドが得られます。
手元を絞りゲインをコントロール、PUSHと組み合わせて使えば、一台で二役以上に活躍してくれます。
オーバードライブと言えば、ジャズコでも使えるのか?気になるところ。「Roland JC-40」でもチェックしてみました。
ゲイン量も高く、ジャズコであってもリードサウンドまでカバーしてくれましたね。
セッティングは12時スタートでOKですが、ジャズコの硬さを和らげたいのであれば、トーンは少し下げ目で鳴らしてあげると良いですね。
管理人の場合は「トーン」のツマミはやや下げ目にソフトな質感で鳴らすのが好みでした。ツマミの効きもわかりやすいのでお好みのセッティングは見つけやすいオーバードライブですね!
Stomp ACE Chorus
こちらはデジタルコーラス、原音感を残しながらエフェクトがかかる印象で綺麗過ぎないサウンドに感じました。
「TONE」ツマミを上げていけば煌びやかなコーラスサウンドも作れますし、「BAND」ツマミでエフェクトのかかる周波数帯域を触れます。
動画では「ZOOM MS-50G」に入っている数種類のコーラスモデリングと比較してみました。
原音からしっかりかかるクリアな響きが特徴のコーラス、一般的にイメージするコーラスサウンドが作れるモデルに感じました。
セッティングによってはヴィブラートサウンドも作れますので、エフェクト・モーフ機能と組み合わせれば、パッドを踏むことでコーラスとヴィブラートを行き来するような鳴らし方もできますね!
Stomp ACE Flanger
フランジャーサウンドたるサウンドから、フランジャー?!と思えるサウンドまで作れるなど、パッと弾いた時に「面白い!」と感じたモデルでした。
予想外な飛び道具サウンドも作れたため、思わずテンションが上がってしまいました。
この動画でいえば、0:31~、2:20~あたりで鳴らしているサウンドはなかなか面白いかと!
揺れ方はエレハモのフランジャーのようなエグさはありませんが、エフェクトはクリアにかかることもあり、歪みと絡めて使ってもエフェクトサウンドは明瞭に響くのもこのモデルの良いところですね!
セッティングによって面白いエフェクトサウンドが得られるため、エフェクト・モーフ機能と組み合わせて使えば、さらに楽しめるモデルに感じました。これは欲しい!
Stomp ACE Phaser
「Stomp ACE Phaser」も単なるフェイザーペダルでは終わらない面白いペダルです。
動画では「MXR Phase90(1974年製と87年製)」も比較用に鳴らしていますが、「BAND」「RES」のセッティング次第で王道なフェイザーサウンドだけではなく、飛び道具的に使えます。
例えば、右端の「RES」ツマミを上げていくと発振します(動画:1:03~)し、独特なフェイズサウンドも作ることができます。
- 0:00 ~ BAC Audio Stomp ACE Phaser 挙動チェック
- 4:04 ~ MXR Phase90 87年製
- 5:07 ~ MXR Phase90 74年製(BUD BOX)
- 5:52 ~ BAC Audio Stomp ACE Phaser
またフェイザーペダルといえば、エフェクトONにすると位相反転するモデルが多い中、このBAC Audioのフェイザーは位相反転しないのも特徴。
バンドアンサンブルの中でフェイザーを踏むと音が引っ込んでしまう、聴こえにくくなる…という方は、ぜひ試して欲しいです!
フランジャーモデルもそうですが、こういったイメージの枠を超えたサウンドが作れるペダルはマンネリ化している手癖フレーズに新しい命を吹き込んでくれます。音色に触発され新しいフレーズを考えたくなりました!
Stomp ACE Compressor
「Stomp ACE Compressor」はダイナコンプのようにレンジを狭めるようなコンプではなく、ナチュラルな部類に入るかと。ただしメリハリのあるサウンドですので、少し派手に感じる人もいるかも。
普段、僕はコンプを使いませんが、ブースター的に使うと良さそうと思いました。気になったのはエフェクトをONにした時に音が自然に繋がらないと感じることがあったことでしょうか。
セッティングによるかもしれませんが…フットスイッチを踏んだ時に音切れするような感じもあったのは気になりました…
Stomp ACE Filter
「Stomp ACE Filter」は4つのプリセットが用意されています。
- LPF(ローパスフィルター)
- BPF(バンドパスフィルター)
- HPF(ハイパスフィルター)
- LPF & OD(ローパスフィルター&オーバードライブ)
各プリセットを試し「LPF & OD」の音を聴いた時、「エフェクト・モーフ」機能で「ワウペダル」のように使えると感じました。
では「Stomp ACE Filter」最大の個性である「エフェクト・モーフ」機能の使い方、そしてモーフ・パッドを使いワウペダルを踏んでいるかのような動画をご覧ください。
僕好みのコクや濃さのあるワウサウンドが作れましたし、コントロールパッドも不思議とワウのペダルを踏んでいる感覚と近かったのは驚きでした。
また動画では「LPF&OD」で音を作った状態で他のプリセットも鳴らしてみましたが、セッティングをかえなくても使える印象でしたので、好みのセッティングさえ決まれば、プリセットを切り替え楽しむこともできそうですね!
エフェクト・モーフ機能を知った時に試したい!と思ったのが「ワウペダル」として使うことでしたがサウンドはもちろん、ワウペダルは重たくて大きいから持ち出せない…という方であれば、このサイズでペダルワウのように使えるのはメリットではないでしょうか(^^)
Stomp ACE Delay
「Stomp ACE Delay」も4つのプリセットが用意されています。
- DIGITAL DELAY
- ANALOG DELAY
- SWELL DELAY
- REVERSE DELAY
デジタルディレイらしいクリアなサウンドが特徴で、アナログディレイのプリセットでも同様に感じました。
どのプリセットも期待を裏切らないディレイサウンドでしたが、個人的に面白かったのはリバースディレイ。歪みペダルと組み合わせた時はつい時間を忘れて弾いてしまいました。
ディレイタイムは最長1000ms(モノラル時は最大2000ms)のロングディレイも可能、またアナログディレイのプリセットでは発振サウンドも鳴ります。
発振した際の音量はディレイレベルで調整できません…音量に注意しましょう…
- 0:04 ~ Digital Delay
- 0:18 ~ Analog Delay
- 0:28 ~ Swell Delay
- 1:14 ~ Reverse Delay
- 2:02 ~ Reverse Delay & Overdrive(FULLTONE OCD)
- 4:10 ~ Analog Delay 発振サウンド
- 4:44 ~ Digital Delay LONG Delay
動画では未チェックですが、モーフ・パッドはエフェクト・モーフとしてだけでなく、タップ機能としても使えます。
飛び道具的にも使えるだけではなく、純粋にタップテンポ付きディレイとして使えるのは嬉しいですね!
Stomp ACE Reverb
「Stomp ACE Reverb」は以下4つのプリセットが用意されています。
- ROOM
- DUCKING
- DETUNE
- SHIMMER
この中でいえば、入力音に対しリバーブ音量が変わる「DUCKING」が僕は好みでした。
DUCKINGでは入力音が大きい場合はリバーブ音量が下がり、入力音が小さいとリバーブ音量が上がります。つまりリバーブの余韻を残したい時はピッキングを弱くすることでリバーブ音量をコントロールできるので、かけっぱなしでも使いやすかったです。
「SHIMMER」は全てのツマミをMAXにするとなかなか過激なサウンドになります(動画:3分4秒~)。
動画には収めていませんが、エフェクト・モーフを組み合わせればかなりエフェクティブなサウンドも作れます。
明瞭な響きがするリバーブサウンドですので、そこは好みが分かれるところかも。BOSSのリバーブを愛用している方でペダル単体でリアルタイムにエフェクトサウンドをコントロールしたい方にはこのモデル、ハマるでしょうね!
Stomp ACE Rotorus
先ほど少し触れましたがこの「Stomp ACE Rotorus」、「BAC Audio」独自の解釈で作られ命名されたモデルです。
この「Rotorus」も4つのプリセットが用意されています。
- ROTAION
- FIXED
- DOUBLE1
- DOUBLE2
実際に触れるまではロータリー系エフェクターかと思いましたが、これはもう独特な揺れ物です。
説明書も拝見しましたが…
なかなか難しい…
POSツマミで音の定位が変わる、音の回り込み方が変わるとのこと。パンニング効果のようなものだと考えてもらうとわかりやすいかも。
あくまでステレオで鳴らすことが前提なペダルであり、僕もモノラルで試しましたが…これは間違いなくステレオで鳴らすべきだと実感しました。
また「D.TIME」ツマミがあり、リピート1回のディレイを鳴らすことができます。ディレイタイムは「0~500ms」まで。僕はMAXで設定するのが心地よかったです(動画も常にMAXで鳴らしています)。
幻想的な雰囲気を作ることができますし、実際に体感すると摩訶不思議な空間の中に身を置く感じが…癖になる方もいるはず。これはぜひ体感してほしいサウンドです!
プリセットデータのダウンロード、入れ替えについて
Stomp Aceシリーズ(オーバードライブ以外)のプリセットデータが公式サイトで公開されています。
プリセットデータを入れ替えるためには、以下、3つをダウンロードします(僕の場合はMac)。
- アップデートツール
- プリセットデータ
- VCPドライバ(Siliconlabサイトよりダウンロード)
設定が完了すれば、簡単にプリセットデータの入れ替えできます。
プリセットデータの入れ替える手順はBAC Audioの公式サイトでも説明されていますので、そちらを参考にしてほしいのですが、一つだけ手順において補足しておきます。
プリセットデータをアップデータツールで入れ替えする際、Stomp ACE本体とパソコンをUSBケーブルで接続します。
この時、認識すれば、接続したStomp ACEのシリアルナンバーが表示されるのですが、USBケーブルを繋いだだけでは、アップデートツールが接続したStomp Ace(ペダル)を認識しません。
認識させるためには、Stomp ACEのインプットジャックにシールドを刺す必要があります。
インプットジャックにシールドを刺すとLEDが点滅、アップデートツールが接続したStomp ACEペダルを認識してくれます。
あとはロードしたいプリセットデータを選択、「Load」するだけで簡単にプリセットデータを入れ替えできます。
ちょっとしたことですが、僕はつまづいたので念のため、シェアしておきます(笑)
フェイザーのプリセットデータは3種類、アナログテイストなプリセットデータが好きでした!
まとめ
Stomp ACEシリーズですが、どのモデルも名前からイメージできるサウンドでありながら、+αのエフェクトサウンドも作れる印象でした。
パッと鳴らして使いやすいのは「Overdrive」。他のモデルはちょっと触らないとわかりにくいかも…動画が参考になれば幸いです。
またプリセットできるモデル(Delay、Reverb、Filter、Rotorus)は今度、プリセットの入れ替えもできるようになるそうなので楽しみですね。
今回、全機種を試す機会をいただけて非常に楽しかったですし、ペダルボードに導入してみたいモデルが見つかりました( ̄▽ ̄)
導入するならフィルター、フェイザー、フランジャーあたりと考えた結果…フェイザーを導入しました!エフェクトONでも位相反転しないのは嬉しいですし、エフェクトモーフで鳴らしたいイメージもありましたので。
プリセットデータの入れ替えもできるので、これからもこのエフェクターボードに鎮座するでしょう( ̄▽ ̄)
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