評判も上々なカスタムショップ製「FULLTONE OCD-Ge」。
「OCD-Ge」のレビューはよく見かけますが今回、実際に弾いてみると、気に入って使われている方が多いのも頷けました。
そして、この「OCD-Ge」はどんなモデルなのか?調べていた時に気になったのが「初期のオリジナルOCD」というキーワード。
詳しくは後ほど紹介いたしますが、「OCD-Ge」は「OCD V1.4」をベースに開発、ブラッシュアップされたモデルです。
しかし、僕は勘違いし、初期生産された頃の「OCD V1.1」を試してしまいました(笑)
当初、「OCD-Ge」のみのレビューを考えていましたが、勘違いから試した初期型OCD(V1.1)、さらに海外で評判の良い「OCD V1.2」も弾きましたので、併せてレビューします!
今回のOCD検証にあたり、エフェクターブック編集長さんからいろいろと教えていただいた内容も交え、レビューしていきます!
「FULLTONE OCD-Ge」レビュー
「OCD-Ge」はカスタムショップ製のモデル。カラーリングもエメラルドなグリーンカラー。
FULLTONEがこの「OCD-Ge」を開発した経緯はミュゼット公式にサイト書かれていますが、「Ge=ゲルマニウムダイオード」を採用した、新たなOCDということになります。
理想的なゲルマニウムダイオードを大量に見つけその全てを買い占める事が出来た事がきっかけとなり、究極のOCDを製作するに至りました。今回フルトーン・カスタムショップでは、2つのMosfetに加えて2つのゲルマニウムダイオードを使用し、いくつかの回路調整を行うことにより、とても鮮明で、より真空管アンプの様な弾き心地と、広いダイナミックレンジとサスティンで、1つ1つのトーンを際立たせます。
引用元:ミュゼットJAPAN OCD-Ge
この「OCD-Ge」を弾いたところ、実にこれがなかなかに好感触でして。
9V〜18Vで駆動、OCDの特徴である手元(ギターボリューム)やピッキングによるゲインコントロールも可能、サウンドはスタンダードモデルよりも、歪みの質感にザラツキがあり、ワイルドに歪んでくれます。
以前に使っていた「OCD V1.7」よりも僕はこの「OCD-Ge」のほうが好きかも。
久々にOCDを弾きましたが「おっ!」と思わず、声をあげてしまいました。
「OCD-Ge」サウンドチェック動画
では、サウンドチェック動画を。
まずはギターをストラトキャスター、アンプは「Fender 64Vibroverb」で鳴らしてみました。
僕の場合、Toneは12時よりも上げ目で使いたい。そのほうが手元(ギターボリューム)を絞った時でも、こもらず、芯のあるサウンドが得られるからです。
Driveを下げれば、クリーンブースターとしても使えますし、LPモードでDrive上げていけば、図太くワイルドなディストーションサウンドまで鳴らすことができます。
HPモードではオープンで抜けの良いサウンドに。手元やピッキングレスポンスにもセンシティブになります。
この「OCD-Ge」の場合、僕はHPモードで鳴らすのが好きでした。
OCDのHPはハイピーク、LPはローピークを指し、HPはマーシャル系、LPはフェンダー系とも言われることもありますね!
バイパスサウンド(トゥルーバイパス・バッファードバイパス)について
内部DIPスイッチで「トゥルーバイパス」と「エンハンスドバイパス(バッファードバイパス)」の切り替えもできます(スタンダードモデルであるV2.0も同じ仕様です)。
では、この2種類のバイパス方式を変えることでサウンドはどうなるのか?以下の項目をチェック、動画に収めてみました。
- バイパスサウンド
- ドライブサウンド
- ファズを前段に繋ぎサウンドチェック
バッファーはナチュラルなサウンド、いかにもバッファー!といった感じではないのも「OCD-Ge」の特徴。
例えば、BOSSコンパクトペダルのバイパス音(バッファーサウンド)が苦手な方でも、この「OCD-Ge」なら大丈夫かも。
とにかく、この「OCD-Ge」を弾いたことで、OCD熱が再燃します(笑)
「OCD-Ge」もシリアルで音は変わるのか?検証してみた
「OCD-Ge」も「OCD」で見られるようなシリアルで音が変わるのか?気になったので検証してみました!
今回用意したのは700番台の個体と1900番台の個体です。
ちなみに700番台の個体はマイク・フラー氏のサイン入り(スターマーク入り)。
「OCD-Ge」に関してはシリアル100番台まではフラー氏のサインが入っていると海外のサイトで情報を見たことがあります。
詳細は不明ですが、せっかくならとフラー氏のサインが入った個体を用意しました。
では、比較動画をどうぞ。
そこまで大きな差は感じませんでした(笑)
違いとして感じたのは、700番台のほうが高域にややピークのあるカリッとした音であるのに対し、1900番台のほうが重心の低い音であること。
面白いことにこの傾向は、後ほど紹介する「OCD」にも通ずる違いだったことです。
極端な違いはなかったにしても、こうなると…俄然、気になるのはシリアル2桁台の「OCD-Ge」(笑)また手に入れる機会があれば狙ってみたいと思います!
「OCD-Ge」の開発ベースとなった初期OCDはV1.4を指す
結論から言いますと「OCD-Ge」は「V1.4」をベースに仕様変更されたモデルであり、スタンダードなOCDとは違うカスタムモデルです。
記事の冒頭でも触れましたが「OCD-Ge」について、ミュゼットの商品説明を見てみたところ、以下のような記載がありまして。
初期のオリジナルOCDは2つのMosfetに加えてゲルマニウムダイオードを1つ使用していましたが~(略)~2つのMosfetに加えて2つのゲルマニウムダイオードを使用し、いくつかの回路調整を行うことにより、とても鮮明で、より真空管アンプの様な弾き心地と、広いダイナミックレンジとサスティンで、1つ1つのトーンを際立たせます。
引用元:ミュゼットJAPAN OCD-Ge
この記載で僕が気になったのは、開発のベースとなった「初期のオリジナルOCD」というキーワードでした。
初期OCD、噂では良い!と聞いていたものの、実際に試したことはありませんでした…
実はOCDには、様々なバージョンが存在し、現行モデルである「V2.0」にいたるまで、仕様が変更され、サウンドも異なります。
- V1.1(初期型)
- V1.2
- V1.3(僕が初めて手に入れたOCDはコレ)
- V1.4(所有していましたがすぐに手放しました)
- V1.5〜V1.6
- V1.7(このバージョンは好きで一時期メインで使っていました)
- V2.0(2021年5月時点で最新バージョン)
バージョンの判別方法は「シリアルナンバー」で把握できる他、筐体内部のサインで判別できます。
僕もV1.3、V1.4、V1.7と所有していた時期があり、V1.7はライブ等で使用していました。
しかし僕は当初…
初期型と言えば、生産初年度(2005年製)の個体だ!
と考え、友人からV1.1(海外ではVersion1 Season1と表記されています)、シリアルナンバー2000番台の初期「OCD」を借りました。
このことをInstagramでシェアしました。
この後、エフェクターブック編集長さんとのやり取りから、「OCD-Ge」は「V1.1ではなく、V1.4をベースにしたモデル」であることをエフェクターブック編集長さんから聞きました^^;
勘違いから弾いた「OCD V1.1」ですが、そのサウンドは僕が弾いてきたOCDとは一線を画するものでして…このことから「OCD V1.1」に興味を持ってしまいました(笑)
「OCD-Ge」で興味を持ってしまった初期型OCD(V1.1)について
「OCD-Ge」がきっかけで興味を持ってしまった初期型OCD。
「V1.1」と呼ばれる生産初期(2005年)OCDがそれにあたり、海外ではプレミアがついています。
筐体の印字も現行バージョンとは異なり、ツマミの周辺に矢印のような記載がありません。
前述しましたが、筐体内部を見ても「V○.○(例えば、V1.7のような)」のようなサインはなく、2005年6月6日のサインだけです。
さて、「OCD-Ge」と初期型OCD(V1.1)を弾き比べたのですが…明らかに音は違います。
「OCD-Ge」よりも音は歪みの質感はサラッとしており、タイトでトレブリー。
手元(ギターボリューム)を絞った時も芯が残る印象は僕の知らない「OCD」サウンドでした。
OCD V1.1も生産時期によって音が違う
実はエフェクターブック編集長さんから「OCD V1.1もシリアルによって、音が違うよ」といった情報も併せて聞いてしまいまして…
そんなこと言われたら、気になりますやん…
ということで、3000番台の個体を友人から借りました!
さて、肝心の音はどう違うのか?シリアルの近い2000番台と3000番台で比較してみました。
かなり近いですが、ちょっと違う。
…となれば、音が違う可能性があるのはシリアル3桁台以下のV1.1か…と考え、シリアル900番台の個体を急遽、海外から取り寄せしました。
900番台と他のシリアルの個体を弾き比べ!といいたいところですが…すみません、動画を撮り忘れていました、、
900番台とそれ以外のV1.1の個体における、サウンドの違いは以下の通りです。
一言で違いを言いますと、古い個体(シリアル900番台)になるとにつれ、トレブリーといいますか、タイトなサウンドであり、どことなく透明感のあるサウンドになるということ。
3000番台の個体は「OCD V1.2」に近くなる、つまりは中域(ミッド)に厚みがあるサウンドに寄っていく傾向がみられました。
実はV1.1の後に販売される「OCD V1.2」も手に入れてみました。では、手に入れた理由について、紹介していきます!
「OCD V1.2」はOCDの中でも最高という情報を見てしまった
海外のWEBサイトでOCDについて調べていると、気になる情報がありまして…何でも「OCD V1.2」はバランスが良く、OCDの中でも最高なサウンドがする、と。
いやいや…そんなことを知ってしまうと、どんな音なのか…体感したい……
我慢できず、手に入れてしまいました。
もうパッと見ただけだと、V1.1と変わりませんが(笑)
この「V1.2」は「V1.1」からボリュームポットの値を100Kから500Kに変更といった、若干の仕様変更と聞いていましたが、予想以上に「V1.1」とは音が違いました。
どう違うのか?こちらの動画をご覧ください。
OCD V1.1(シリアル900番台)とV1.2」の違いを解説、サウンド比較!
この動画でも解説していますが、まず、「V1.2」は「V1.1」よりもミッドレンジにややピークがあり、ロックなサウンド。ややファットなサウンドに感じました。
やはり「OCD V1.1」は前述した通り、トレブリーなサウンド傾向、どこか透明感のある抜けの良いサウンド、また、歪みの質感もサラッとしていると感じました。
OCD V1.1(シリアル3000番台)とV1.2」をサウンド比較!
では、V1.2により近い、シリアル3000番台のOCD V1.1とV1.2を比較した動画もご覧ください。
いかかでしょうか。900番台のOCDよりもV1.2に少し近い感じ、しません?
このことから、生産初期から後年になるにつれ、徐々に「ミッドが出る方向にチューニングされている」と感じました。
OCD V1.1、V1.2ともに、音はこもりにくい
「V1.1」「V1.2」ともに、手元(ギターボリューム)を絞った時も音がこもりにくく、これは他のバージョンのOCDと比較しても明らか、初期OCDの個性に感じました。
厳密に言えば、「 V1.2」は「V1.1」よりも手元でゲインコントロールした時、高域がややマイルドでこもって聴こえる印象はありました。
しかし、僕の記憶からすると「V1.3」以降のOCDよりも、こもる印象はなかったです。
とはいえ、「V1.2」はペダルのTONEを上げていけば、太さは保ちつつもエッジの効いたサウンドが鳴らせますので、バランスの良いバージョンと評価される理由も頷けました。
例えばですが、アンプサウンドを活かした音作りをするのであれば、V1.1はハマるかも。僕も手持ちのVibroverbで鳴らすなら、このV1.1を使いたくなりました。
スタジオやライブハウスの置きアンプで鳴らすなら、V1.2を使いたいですね。
あと、「V1.2」ならシングルコイル系ギターで、「V1.1」ならハムバッカー系ギターで鳴らしたいと感じました。
OCDは時代に合わしたチューニングがされていったと考えていましたが、こう弾き比べてもやはり、V1.1は異質といいますか…個性的なサウンドだなぁと実感しました。
「OCD-Ge」&「OCD V1.2」のサウンドを比較してみた
「OCD-Ge」のサウンドに対し、サウンドが近いのは「OCD V1.2」と思い、比較しましたが…まったくの別モノでした(笑)
本来比較するのであれば「V1.4」とすべきですが…用意できませんでした…すみません、、
では「OCD-Ge」と「OCD V1.2」でどれだけ音が違うか?動画をご覧ください。
別モノ、ですよね。コレ…笑
「OCD-Ge」はゲルマニウムダイオードを採用しているモデルということもあり、ザラっとした質感の歪みで野太いサウンド。
アンプを選ばず使えるのは「OCD-Ge」かも。これはこれでかっこいいサウンド、僕は「HP」モードで鳴らすのが好みでした。
抜けの良さで言えば、そのサウンドキャラクターから「V1.2」でしょうか。
OCD-Ge、手持ちのアンプ達でも試しましたが、OCD-Geのサウンドキャラクターがきちんと感じられました。人によっては味付け感があると感じる人もいるかもしれませんが…環境問わず鳴らしたい方であれば、これぐらいでちょうどいいかも。
この辺はプレイヤーの好み、使い方もあるので、良し悪しを決めることはできないですよね。
「OCD」は18V駆動も試してみてほしい!
さて、今回チェックした時に再認識できたことがありまして。それはOCDは18Vで鳴らすと面白いということ。
「OCD-Ge」もスタンダードな「OCD」もぜひ、18Vで鳴らしてみてほしいです!
18V駆動させることで、9V駆動の時よりも歪み感が減り、よりダイレクト感のあるオープンなサウンドでエフェクター臭さが軽減されます。
試したことがない方であれば、18Vで鳴らしてみるとさらにOCDが好きになるかもしれません!
12Vぐらいで駆動させると、ちょうど9Vと18Vの間を取ったようなサウンドであり、僕は案外、12Vで鳴らすのも好きでした。
OCDの元ネタとなった名機とも弾き比べしてみた
「OCDの元ネタになった名機たちと弾き比べしても面白いんじゃない?」とエフェクターブック編集長さんからご提案があり、以下の機種を貸してくださいました!
- Voodoo Lab Overdrive
- DOD 250 Overdrive/Preamp
そしてもう一機種、上記2機種の元ネタとなった「MXR Distortion +」を友人から借りました!しかも1974年製BUDBOX期の貴重な個体を!
比較したのは以下、機種たちです。
- Voodoo Lab Overdrive
- DOD 250 Overdrive/Preamp(80年代のもの)
- FULLTONE OCD V1.1(シリアル900番台)
- FULLTONE OCD-Ge
- MXR Distortion+(74年製 BUDBOX)
これらの違い、音を聴いてもらった方がわかりやすいかな?と、動画を撮ってみました!
なるほど、これは面白い…どこか共通する点があり、以下の機種は雰囲気が似ていると感じました。
- 「DOD 250」と「OCD(V1.1)」
- 「Distortion +」と「OCD-Ge」
上記の機種で言えば、「DOD 250」と「OCD(V1.1)」はダイオードがシリコン、「Distortion +」と「OCD-Ge」はダイオードがゲルマ。ダイオードによるサウンドキャラクターを体感できました。
この比較がきっかけで、古いDOD250が欲しくなり、同じオペアンプの個体を手に入れてしまいました…笑
ちなみにこちらの「元ネタとなった名機」についてはエフェクターブックVOL 54でコラムにも書いています!併せてご覧いただけますと嬉しいです!
まとめ
「OCD-Ge」については確かに、人気があるのも頷けるサウンド。スタンダードモデルのV2.0をゲットするのであれば、僕は「OCD-Ge」をおすすめします。
太く、程よく暴れるサウンドがカッコ良く、かつ見た目にも惹かれます。
カスタムショップ名義、限定モデルとも聞いていますので、気になっている方は早めにゲットされたほうがよいですね!
また、初期型OCD。初期型は別モノという話を聞いていましたが、なるほどな…と。確かに僕の知らないOCDサウンド。
人によっては「OCDはV1.2までがOCDである」という方もいらっしゃいますが、確かに個性を感じるサウンドでした。いや、良いですよ。本当に。
2005年に発売されてから、今日に至るまで販売され続けてきたのは伊達じゃないですね。
ちなみにOCD、なかなか信じてもらえないのですが、ファズ受けも良いオーバードライブペダルなんです。
OCDは単体でクリーンブースト、クランチサウンドからファジーでハードなドライブサウンドまでカバーしてくれるなど、本当に素晴らしいペダルですよ!
僕も最近、セッション用のミニペダルボードにはOCDが鎮座しています!
このボード、あとはワウペダルがあれば、僕的に問題なくプレイできます( ̄▽ ̄)
情報&機材提供くださったエフェクターブック編集長さん、またペダルを貸してくれた友人たち、ありがとうございました!
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