「MASTERTONE(Mastertone Pedals)」は神戸の楽器店「TONE BLUE」さんがプロダクトしたブランドであり、2021年5月1日に第一弾として発売したのが、この「EOD(Emotional Overdrive)」です。
企画・販売をTONE BLUE、設計・製作をBlackberry JAM、筐体塗装をSAITO COLOUR WORKSが担当する3社によるチームブランドとなります。
引用元:TONE BLUE 公式サイト
この「MASTERTONE EOD(以下、EOD)」は開発にあたり、サンプルサウンドにしたのは、95年のライブで見られる「ラリーカールトン」氏サウンドとのこと。
57年製のレスポールとダンブルアンプ。確かに良い音。
僕もラリーカールトン氏は好きでして。この時のサウンドが出せると聞いて、俄然、興味が沸いたペダルでした!
また、「工業製品を作るのではなく、あくまでも『楽器』を作る」といった想いから、音だけではなく、見た目、梱包に至るまでこだわりが詰まったペダルです。
それではレビュー、いきます!
ペダルレビュー
まず、目を惹くのが筐体のカラー。ギター塗装の職人さんが手がけているそうですが、色合い、質感がすごく良いです。
ラッカー塗装とのことなので、経年変化も楽しめる。使えば使うほど、味わいがでてくるそう。
深みのあるゴールドカラーで、古いゴールドトップのレスポールを思わせるカラーリング。カッコいい。
さらにこだわりとして、高級感のあるクロスまで付属。
このクロス、今後のペダル撮影する時にも使えそうなので、地味に嬉しい(笑)また、布袋も付いていました。
基板を拝見しますと、オペアンプベースのオーバードライブペダル、丁寧な作りです。
オペアンプにはTL072CP、個人的に見た目が好きなDALE抵抗も使われています。
ジャックもスイッチクラフトではなく、ボックスタイプのジャックを採用しているのにも、理由がありそうですね。
筐体に表記はありませんが、ツマミは左からレベル、トーン、ゲイン。シンプルなコントロール。
基本、ツマミは「5」をデフォルトに音作りすれば良いので、狙うサウンドを思い描けていれば、セッティングは難しくありません。
僕の場合、レベルは5以上に上げた時に出てくる高域やハリ感が好きなので、上げ目にセッティングしています。
ちなみにツマミは左回しいっぱいにすると、ツマミの「0」表記がちょうど7時あたりで止まります。この位置を覚えておいて、ツマミの表記を合わせましょう。
7時あたりを基準点(ポインター)として、セッティングしてくださいと説明書に書かれていました!
とはいえ、わかりにくいので、「ポットポインター」を付けようかな?と画策しています。
電池駆動も可能、外部電源にも対応しています。
説明書には外部電源は9Vと書いていますが、18Vまで大丈夫とのこと。
18Vで駆動させるとより、クリアでコンプレスなサウンドで鳴らすことができますが、18Vで鳴らさなくても十分、オープンで高レスポンスなサウンドが鳴らせますね。
では、サウンドレビュー、いきます!
サウンドレビュー
ダンブル系ペダルで低域が過多であったり、手元(ギターボリューム)を絞った時にこもったりするペダルの場合だと僕は苦手なのですが、この「EOD」は、そういったダンブル系ペダルとは違いました。
「EOD」を弾いた第一印象として、低域の出方も過度ではなく、適度に太さとコンプ感があるなど、とにかく、出音にバランスの良さを感じました。
ペダルコンセプトである「ラリーカールトンサウンド」の雰囲気もあり、弾き手の技量次第では本人に迫るサウンドも出せるのではないか?と感じました。
今回はレビュー記事に先立ち、EDOの特徴や良さ、使い方について動画を公開しています!まずはこちらをご覧ください。
動画レビュー
動画では普通にiPhoneマイクで録音、ジャズコ(Roland JC-40)で鳴らしながら、解説しています。
この動画では、所長の隣に置いてあるアンプ(JC-40)から鳴った音をiPhoneで撮っているだけ。音の編集や加工は一切していません。
とにかく、タッチ(ピッキング・ピックの当て方など)に対しても非常に敏感。
動画でも実演していますが、ピッキングだけでクリーンからオーバードライブまでコントロールできるだけでなく、弱くピッキングした時も音像がグッと前に出てきます。
ゲインの増減、細かなピッキングニュアンスに反応してくれるため、ギターボリュームやピッキングで変化つける、駆使するプレイヤーであれば、これ一台で歪みはカバーできますし、とにかく、ギターを弾くことが楽しくなるペダルですね!
「EOD」はゲインをMAXにした場合でも、手元(ギターボリューム)を絞れば、膨よかで芯のあるクリーンサウンドも鳴らせます。
いわば、ギターボリュームを絞った時のサウンドが「こもらない」のも、僕は気に入りました。
個人的にはJC-40で鳴らしても、良い感じに太く歪んでくれる印象であり、適度に柔らかさとコシのあるサウンドが得られると感じました。
また、歪ませても「弦鳴り」を感じられますし、ダイレクト感とナチュラルなフィードバックがかかるなどなど、アンプを彷彿させるサウンドを感じさせてくれるオーバードライブエフェクターでした。
アンプを問わず、ジャズコ(Jazz Chorus)でも使えるオーバードライブ
「EOD」ですが、アンプを問わず使える印象もありました。
僕もジャズコ(Roland JC-40)他、手持ちのアンプでチェックしましたが、相性の悪さは感じませんでした。
真空管アンプのほうが活きるのは当然として、JC-40でも十分に使える印象。
「EOD」のサウンドキャラクターが、ジャズコ(Jazz Chorus)で嫌がられる音の硬さなどを、良い意味でマスキングしてくれるような。
マイアンプを持ちだせない方には「プリアンプ」的にも使える、重宝するペダルかと(好みはあるとしても)。
また上の動画ではギターを持ち替えていますが、大きくイメージから外れるようなサウンドにならなかったですね!
動画ではレスポール他、ストラトキャスター、SGジュニア(P-90)でサウンドチェックしています!
これだけアンプらしいサウンドが鳴らせるのに、ギターやアンプに依存しすぎないといった、不思議なペダル、すごいです。
所長がもし「MASTERTONE EOD」を使うなら
もし「EOD」を使うなら、僕は動画でも使用していたレスポールで鳴らすでしょうか!
このレスポールデラックスは元々、ネック側はミニハム、ブリッジ側はハムバッカーが乗っていましたが、フロントもハムバッカーに換装しています!
僕はレスポールを鳴らす場合、あまり歪ませたくない人でして。ちょうど、この「EOD」のゲイン感が、ちょうど良い塩梅だったからです。
また手元(ギターボリューム)を絞った時でもこもらない、芯と高域があり、抜けの良さがあるため、ハムバッカーピックアップのネック(フロント)側でも、抜けの良いサウンドが得られます。
ハムバッカーギターを使っている方で、フロントピックアップの音に不満のある方であれば、この「EOD」を常時ONにし、ブリッジ(リア)ピックアップはトーンを絞るなどすれば、不満は解消されるかもしれません。
レスポールで鳴らしたくなったのは「EOD」のサンプルとなったラリーカールトン氏の動画に影響されていることは否めません(笑)
とはいえ、シングルコイルギターでも使えますので、色んなプレイヤーに使ってもらえる懐の広さを持ったペダルですね!
まとめ
「MASTERTONE EOD」ですが、ペダルコンセプトである「カールトンサウンド」に近づけるサウンドを鳴らせるポテンシャルは「ある」と感じました。
ピッキングに敏感であるがゆえ、弾きにくさを感じる人もいるかもしれませんが、中域(ミッドレンジ)がしっかり鳴る感じがあって、太くスムーズなサウンドが得られます。
また、ペダルのトーンを上げれば、ソリッド感のある音も鳴らせるなど、プレイヤーにとって、幅広いサウンドが作れるペダルです。
個人的には中域の鳴り方がダンブルっぽさを演出してくれているとも感じました。
僕自身、オーバードライブペダルに求める部分はクリアしていただけでなく、とにかく弾いていて、楽しい。これ一台で弾き切りたい!と思わされるペダルでした。
「EOD」、冒頭で紹介したラリーカールトン氏の音に感銘を受けた方であれば、ゲットしても間違いないペダルです。
あとは、手元(ギターボリューム)やピッキングでサウンドコントロールするプレイヤーの方には是非、体感いただきたいペダルですね!
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