PROCO RATをレビュー!年代別の見分け方とサウンドを比較してみた

PROCO RAT1 & PROCO RAT2

Proco RATは名機として評価が高く、所長も大好きなエフェクターの一つです。

販売された時期は78年であり、変化を遂げながら現在でも販売されています。

所長
所長

PROCO RATは発売当時、挙動を含め斬新なエフェクターであり人気の高いモデルだったと聞いてます。

Proco RATのサウンドはローカット気味のカラっとした、アメリカンディストーションといった印象を受けます。

ラットサウンドはこれだ!とわかるような、個性的な音です。

幅広いゲインレンジをカバーする優秀な歪みエフェクター

RATはディストーションとしてだけでなく、プリアンプやブースターとしても使えるなど、幅広いゲインレンジをカバーしてくれる歪みエフェクターです。

さらにDeistortionのツマミをMAXにすると、ファズのような歪みまでカバーします。

所長としてはクランチサウンドを作るのに、最良なペダルと考えています。

Fillterの効き方は一般的なトーンとは逆

Filterのツマミは一般的なトーンとは効きが逆、右回しで音が高域をカットします。

RAT自体は高域がでるので、所長は大体2時以降のセッティングぐらいを基本にセッティングします。

使用アーティストについて

RATの使用するアーティストは全て挙げられないほど、たくさんいます。

  • Nuno Bettencourt
  • Jeff Beck
  • Joe Perry
  • John Scofield
  • Dave Grohl
  • Robert Fripp
  • 青木裕
  • いまみちともたか

参照元:Equipboard

この記事では当研究所における検証動画と共に、以下の年代別PROCO RATをおけるサウンドや特徴をレビューしています。

記事の中で登場するPROCO RAT
  • Large Box 79年製
  • Large Box 82年製
  • RAT1 84年製 Small Box/White Face
  • RAT1 86年製 Small Box
  • RAT1 88年製 Small Box
  • RAT2 87年製
  • RAT2 93年製

まずは簡単にProco RATの歴史に触れつつ、当研究所で実際に試した時の動画でサウンドを紹介します。

PROCO RATの歴史を簡単に紹介

PROCO RAT large box 79年製&small box 88年製と84年製

PROCO RATの歴史を遡りますと、最初期はフリンジロゴ(Fringe Logo)と呼ばれるものが登場、その後はラージボックス(Large Box/Big Box)と呼ばれる大きな筐体のラットが販売されます。

当研究所でも、貴重な79年TONE表記のラージボックスRATを試させてもらいました。

Proco RAT Large Box 1979 Vintage Pedal – DEMO
Proco RAT Large Box 1979 Vintage Pedal – DEMO @efmaniac111
機材提供 Thanks @AKI51503

その後、84年以降にスモールボックス(Small Box)と呼ばれるRATが登場します。

サイズダウンした筐体の物がスモールボックスといわれる、今でいうRAT1となります。

最初期84年製のスモールボックスは文字の白黒が反転している、ホワイトフェイスと呼ばれる個体です。

1984年製 Proco RAT1 Small Box White Face
1984年製 Proco RAT1 Small Box White Face
機材提供 Thanks mana_88_tamura

以降のRAT1を見ると、見た目が違うことがわかります。

86年製と88年製のRAT1/左上は88年製で文字の周りに白枠がないのが特徴です。
86年製と88年製のRAT1/左上は88年製で文字の周りに白枠がないのが特徴です。
機材提供 Thanks @ConstipatedBeck@FStompboxes
所長
所長

見た目がボロボロの個体も散見しますが、塗装の兼ね合いで剥がれやすく錆びやすいと聞いています。

ちなみにRATはラージボックスとスモールボックスで挙動、サウンドも異なります。

84年製スモールボックスRAT1と79年製ラージボックスRATを比較した動画
Proco RATの79年製Large Boxと84年製Small Box!貴重な最初期個体をレビュー @efmaniac111

別の機会に82年製のラージボックスを弾かせてもらったことがありますが、やはりスモールボックスと音が違いました。

当研究所にて所有する88年製RAT1(左)と82年製ラージボックスRATを比較した動画
ヴィンテージPROCO 82年製ラージボックスRATと88年製スモールボックスRAT1のサウンドを比較 @efmaniac111
機材協力 Thanks! ignition/of/mass-products//

そして、スモールボックスとなったRAT1から、LEDが搭載されたRAT2へ変わっていきます。

所長
所長

後ほど解説しますが、RAT1とRAT2は併売されていたそうです。

PROCO RAT2 1987年製
PROCO RAT2 1987年製

RAT2となるとProcoの文字がなくなり、Aの文字にLEDが追加されます。

併売期のRAT2であれば、裏蓋はRAT1と共通のものを使われているように感じました。

筐体の塗装もかわり、剥げや錆びにくなっていますね。

RAT2ははじめUSA製でしたが、その後は中国製に変わっていきます。

RAT2のUSA製の見分け方として、筐体上面がスラントしていないことやノブがRAT1と同じような形状であることです。

中国製のRAT2はノブも一回り小さくなり、見た目でわかります。

他にもRATにはTurbo RAT、BRATなど様々な種類があり、今ではFAT RATなる物まで販売されています。

参照元:Proco – モリダイラ公式サイト

「FAT RAT」と「88年製RAT1」の比較動画も撮ってみました!
Proco FAT RATを88年製ヴィンテージRAT1と比較しながらサウンドチェック&レビュー @efmaniac111
機材協力 Thanks @funkyBlues1980

RATにはシリアル番号も記載されており、生産された年代を判別することも可能です。

Proco RATのシリアルから製造年と種類を見分けることも可能

Proco RATのシリアルは初期ラージボックスを除き、RTで始まるシリアルで記載されており、製造年も判別できます。

シリアル製造年RATの種類
400000番台1978年Fringe Logo、Large Box(Big Box)
RT-010000番台1979〜83年Large Box(Big Box)
RT-020000番台1983〜85年Large Box(Big Box)/Small Box RAT1(White Face)
RT-030000番台1985〜86年Small Box RAT1
RT-040000番台1986年Small Box RAT1
RT-050000番台1986年Small Box RAT1
RT-060000番台1987年Small Box RAT1
RT-070000番台1987年Small Box RAT1
RT-080000番台1987〜88年Small Box RAT1/RAT2
RT-090000番台1988年Small Box RAT1/RAT2
参照元:ProCo RATのシリアルナンバーとオペアンプ

またシリアル番号から、ざっくりとRAT1とRAT2を見分けることも可能です。

  • RAT1 White Face:1万~2万番台
  • RAT1 Black Face:3万~5万番台
  • RAT2(RAT1筐体):6万番台

情報提供:Thanks! CAMURO

所長
所長

所長のRAT1は88年製、シリアルは90000番台ですので後期仕様のRAT1となります。

所長が所有するのは、88年製RAT1と87年製のRAT2であり、各々が併売されていた時期の個体です。

写真左が87年製のRAT2、右が88年製RAT1
写真左が87年製のRAT2、右が88年製RAT1
この時期のRAT1、RAT2の筐体側面、底面共用の蓋は同じ物が使用されていると考えられます。
この時期のRAT1、RAT2の筐体側面、底面共用の蓋は同じ物が使用されていると考えられます。

あれ?なんでRAT2のほうが古いの?と思われる人もいるかもしれませんが、RAT1からRAT2へ変わる移行期のものだからです。

シリアル8万番台のRAT2の基板
87年製PROCO RAT2の基板
シリアル90000番台の88年製RAT1
88年製PROCO RAT1のシリアルナンバー

ちなみに年代の判別方法は、ポットデイトに書かれている数字でチェックできます。

PROCO RATの年代を判断するにはポットデイトもチェックする

Proco RATの製造年を調べる際、ポットデイトをチェックする方法があります。

例えば、所長の88年製RAT1のポットデイトを見ますと、「1378816」とあります。

PROCO RATの製造年を調べる時にはポットデイトを確認する

「88」という部分が製造年、「16」という部分が生産された週を意味します。

つまり88年の16週目のポットとなりますので、88年でも比較的はじめの個体であるということです。

では、87年製RAT2のポットデイトを見てみましょう。

所長
所長

RAT2は88年製から販売されたと聞きますので、もしかすると余っていたポットを使って作られたRAT2なのかもしれません。

謎は深まりますが、RAT2初年度の個体であることは間違いないと考えています!

RATを年代別に基板を拝見!特徴を紹介

では、各年代別にRATの基板を見ていきましょう。

86年製RAT1の基板を拝見

86年製RAT1、基板内を見てみますとオペアンプにはモトローラーLM308がのっています。

proco rat1 lm308

RATといえば、このモトローラーLM308オペアンプが良いという人もいるでしょう。

基板の色が乳白桃色であり、後年のものとは違うのも特徴です。

88年製RAT1の基板を拝見

RAT2と併売していた時期のRAT1であることから、基板を見てみますとLED用の穴やパーツをのせる箇所があります。

PROCO RAT1 88年製の基板

88年製RAT1のオペアンプもモトローラ社製ですが、基板の色は緑色です。

PROCO RAT1 88年製 LM308
87年製RAT2の基板を拝見

LEDが搭載され、発売初年度と思われるRAT2の基板を見ていきましょう。

PROCO RAT2 87年製の基板

87年製のRAT2もオペアンプはモトローラ社製LM308がのっています。

同じモトローラ社製LM308がのっているのですが、音は88年製のRAT1とは違いました。

LEDが搭載されたことで、パーツ点数が増えたことが影響しているのかもしれません。

所長
所長

ちなみに同年代でも基板の色が違うものもありますし、音も違うなどなど…個体差があると言われますが、確かに試した感想から言いますと…頷けます^^;

RAT1とRAT2の違いについて!製造年別にサウンドを比較してみた

RAT1とRAT2は年代によって、見た目が変わりますがサウンドも異なります。

RAT1と現行品であるRAT2の音は変わらないといっている人もいますが、所長としては違うと感じました。

出音の傾向として、RAT1のほうが音に柔らかさと太さがあり、ギターボリュームを絞った時のクリーンサウンドにもふくよかさを感じました。

所長
所長

さすがに昨今のアンプライク系ペダルのような艶、ハリ感はありませんが^^;

RAT1は単音で弾いた時も太く、ソロやリフプレイにも映えます。

「Vintage Proco Rat」 vs 「Newer Proco Rat」
Vintage ProCo Rat vs Newer ProCo Rat

動画のNew Rat(中国製)の個体はエッジーなサウンドであるのに対し、RAT1のほうがウォームなサウンドです。

不思議ですがこういったニュアンスは他のヴィンテージペダル、例えばBOSS SD-1やMXR Distortion +にも共通します。

現行品がダメというわけではありませんが、古いRATが愛される理由があると感じましたし、生産時期による違いもあります。

88年製RAT1と87年製&93年製RAT2を比較!

88年製RAT1、87年製と93年製RAT2のサウンドを比較してみました。

左から1988年製のRAT1、1987年製RAT2、1993年製RAT2
Proco RAT1 vs Proco RAT2 1987 vs RAT2 1993 | Sound Check【魔法の箱研究所】
Proco RAT1 vs Proco RAT2 1987 vs RAT2 1993 | Crunch Sound Check【魔法の箱研究所】
Proco RAT1 vs Proco RAT2 1987 vs RAT2 1993 | Full Gain Sound Check【魔法の箱研究所】

音の特徴として、RAT1のほうが乾いた音と突き抜ける高域、カラッとしたサウンドが魅力でした。

RAT2も87年製は93年製よりも太いサウンド、歪ませていくとかっこいい音に感じました。

総じて、RAT2のほうがコンプレッション感がありますし、歪みの質感もスムーズでしたね。

所長
所長

ちなみに先ほど基板等、紹介した併売期のRAT1とRAT2だけを解説付きで動画を撮ってみました!

88年製RAT1と87年製RAT2を比較動画です!所長の感想も喋っています( ̄▽ ̄)
Proco「RAT1(88年製)」と「RAT2(87年製)」を併売期の個体でサウンド比較! 【魔法の箱研究所】
所長
所長

各年代のRATについては「きになるおもちゃさん」でも紹介しています!見ごたえある記事ですので是非^^

ちなみに所長がRATを使う場合、アンプはクリーンでDistortionを9時前後、Filletrは2~3時ぐらいにセッティングし、クランチサウンドで使うのが好きです。

1988年製のRAT1をこんな感じで鳴らすのが好きです!
PROCO RAT1 1988年製 Sound Review【魔法の箱研究所】

とにかく、いろんな歪みサウンドが作れるのが魅力であるため、未体験の人は試してほしいペダルですね。

RATはオペアンプで音が変わるのか?交換してみた

RATのオペアンプといえば、モトローラ社製LM308は人気があります。

所長も一時期、気になったことがありまして、87年製のRAT2をソケット化し以下のオペアンプを検証したことがあります。

  • モトローラ社製 LM308N
  • ナショセミ(NSC) LM308AH(缶タイプ)
  • ナショセミ(NSC) LM308N ON LABEL KOREA

87年製のRAT2で、いろいろオペアンプを試した時の検証動画を貼っておきます。

Proco RAT2でオペアンプを交換すると音は変わる?1987年製の個体でサウンドチェック【魔法の箱研究所】

確かにオペアンプをのせかえることで音は変わりましたし、検証した結果から言いますと所長もモトローラ社製が好みでした。

まとめ

Proco RATはなかなかに奥深い、沼なペダルです。

近年、相場も上がってしまったので容易に比較できないので、この記事が少しでも参考になれば幸いです。

Proco RATを買うのであれば、

所長
所長

実は所長が気に入っていて小勇している88年製のRAT1は元々、友人の物でした。友人から譲ってもらうまで年代、近いシリアルの物を数台買ったものの、同じ音の個体はありませんでした…友よ、ありがとう…

RAT系でおすすめな現行品ペダルたちを紹介

RAT系ペダルは数多く販売されていますが、所長が弾いて記憶に残っているペダルを最後に紹介しておきます。

ignition/of/mass-products// ART

ignition/of/mass-products//が作る、ARTは面白かったです。

igniton/of/mass-products// ART
igniton/of/mass-products// ART

実はこのART、所長がお気に入りの88年製RAT1に似てたからです。

再三登場している手持ちの88年製RAT1と比較してみました!
igniton/of/mass-products// ART vs Proco RAT1 1988年製 サウンド比較!【魔法の箱研究所】

さらにCHEWモードといった独自のサウンド、面白いギミックまで搭載されています。

なかなか手に入れにくいのですがRAT好きの方であれば、ぜひ試してみてほしいペダルです!

igniton/of/mass-products// ART レビュー記事はこちら!

Organic Sounds Hercules

Organic Sounds HerculesはRATをベースとしながら、TC楽器さんとのコラボで作られたペダルです。

RATと比べると、ややローミッド〜ローに厚みのあるサウンドであり、より環境に左右されず鳴らせる印象を受けました。

Organic Sounds HerculesとProco RAT1のサウンドを比較してみた #guitargearreview #distortionpedal

例えばアンプがJC-120の場合など、Herculesのほうが音作りがしやすいでしょうね。

もちろん、RATの魅力であるギターボリュームやピッキングなど、手元に対する追従性も良いです。

手に入れやすい価格で売られているので、RAT系エフェクターを探している人は試してみてほしいモデルです!

サウンドハウス

管理・運営者
この記事を書いた人
efmania

今まで試したエフェクターは500台以上。「魔法の箱研究所」所長である「efmania」が実際に試した楽器機材(エフェクター・ギター・アンプetc)のみ紹介、レビュー。Effector Bookへの寄稿、ペダルブランド、メーカーからの機材レビューも担当。

〜コラム寄稿 雑誌/書籍〜
ギターマガジン「識者に聞く歪みペダル最新事情!」に寄稿しました!

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