ヴィンテージ、Gibson Les Paul Deluxe(ギブソン レスポールデラックス) 1970製(69年スペック)をレビューします!
こちらのレスポールデラックスはリアはハムバッカーに交換、ペグ他、ブリッジなどのパーツも交換されているなど、プレイヤーズコンデションな1本です。
この年代特有の緑青がでたゴールドトップカラー
カラーはゴールドトップ、なかなかに味わいと深みのあるカラーです。
手持ちのレスポールクラッシックと比べても、経年変化は抜きにしても別物ですね^^;
特徴的なのが緑色に変化する緑青と呼ばれるものでして、昔はブラスが含まれた塗料が酸化して起こる現象だそう。
この風合いが何ともいえない、カッコよさを醸しだしてくれますし、70年代に入ってからの物と比べ、ボディトップのアーチ形状もまだ色っぽさがあります。
手に入れた当初、スペックから60年代後期~70年代初頭の物であると考えていましたが、いろいろ調べている間に69年頃の材で作られた70年製のレスポールデラックスであることがわかりました!
69年スペックの70年製レスポールデラックスだった
ヘッドのロゴは「i」部分のドットなし、69年製の特徴が見られますが、実は70年製のレスポールデラックスです。
レスポールデラックスの場合、iドットなしは69年製の特徴とのこと。
ちなみにこの個体のトラスロッドカバー、Les Paul Delxeと書かれていますがレア仕様だそうです。
引用元:1968 Les Paul and 1969 Les Paul Serial Number Information
あと70年製であることはポットを交換した際、ハンダを取り除きポットデイトを確認すると70年10週目とあったこと。
それとキャビティ内にあるBスタンプから、70年製であると考えられます。
Bスタンプとは、コントロールキャビティに押されているスタンプのことで、このB (もしくはC) スタンプは69年のスタンダード、デラックスのみにみられる初期仕様です。
引用元:HOWL BLOG
このBスタンプが当方所有のレスポールデラックスにもみられました。
ネックはマホガニー3ピース。
ネックとヘッドの付け根には、小さめなボリュート(初期仕様のスマートボリュート)、過去に一度、折れた時にリペアされたためか、塗装は変わっています。
このレスポールデラックスは1970年代以降の個体に比べ、ネックグリップ形状も厚みと丸みがあり、握りごたえがあります。
グリップ形状からしても、仕様変更の過渡期であることが伺えるレスポールデラックスですね。
キャビティー内を見てみますと、コンデンサーはオリジナルのブラックビューティー(Black Beauty)。
0.022uF、400Vのもので、バンブルビーやグリーニー等のコンデンサーに比べ、無骨で中低域に厚みのあるコンデンサーに感じます。
このBlack Beautyのコンデンサーが搭載されているのは、1970年代初期頃までとのことです。
レスポールのパンケーキ構造(ボディ)について
ボディはパンケーキ構造と呼ばれるもので、マホガニーの間に薄いメイプルを挟んでいます。
いわゆる1970年頃のレスポールに見られる仕様です。
この工法を採用した理由は諸説様々ですが、1ピースで使用できる良質なマホガニーがなかったためだとか。
例えば「ギブソンのヴィンテージギターは音が違う」というのも、材が決定的に今とは違うためとも言われています。
しかし1960年代後半、良質な材は利用したいが、1ピースで使えるようなモノがない、、
そんな時に当時の職人が採用した方法が、良質な材を複数層にして利用したのが…このパンケーキ構造だった(※)とのこと。
※パンケーキ構造は高級家具などに用いられていた工法だそうです
このあたりの情報は「 レスポール大名鑑1968~2009 写真でたどるギブソン・ギター開発全史後編 」に詳しく載っています^^ 1960年後期あたりからのギブソンについて、詳しく知りたい人には良本なのでおすすめです!
このパンケーキ構造のギブソンギターの評判がイマイチみたいですが、僕はそう思いません。
個体差もあると思いますが、世間で言われているほど、粗悪なギターに感じませんでした。
実際、このレスポールデラックスは当時のギブソンの音がする良いギターです。
いろんな人に弾いてもらってますが、なかなかに評判の良いギターです( ̄▽ ̄)
ピックアップはポールピースが露出したミニハムバッカー
レスポールデラックスの特徴の一つが、ミニハムバッカーピックアップ(以下ミニハム)の採用です。
この時期のミニハムの音は50年代のPAFに近い…と聞いたことがありますが、よりパワフルなサウンドに感じました。これはピックアップ自体の印象ではなく、ギター本体の個体差もあるので断言はできませんが^^;
ミニハムといえば、ファイヤーバードやエピフォン系のギターに採用されていますが、デラックスのミニハムはポールピースが露出しています。
音に関して言うと、ファイヤーバードと比べるとパワーもあって、低域もしっかりでる印象がありました。
ミニハムのレスポールだからといって、決して非力なサウンドではないんですよ^^;
もちろん、ミニハムらしく高域の伸びもあるので、芯のあるクリーンやクランチも魅力。
歪ませていった時も、音の輪郭も崩れにくいです^^
この歯切れは良い適度に太いサウンド、そしてピッキングした時にナチュラルにかかるコンプ感。
これは72年製のレスポール、74年頃のSGを弾いた時にも感じたものでした^^
ただ僕のレスポールデラックスのリアピックアップは、ハムバッカーピックアップ(69年製 Gibson ES-335に搭載されていたT-TOP)に換装されていました。
ちなみに当時はピックアップをハムバッカーに交換する改造がよくされていたとか。
実際、ハムバッカーピックアップに交換されている個体も見かけます。
所長も手に入れた時は、そこまでフロントとリアのバランスは気にならなかったのですが、ずっと使っているうちにバランスが悪い…と感じるように、、
そこで思い切ってフロントもハムバッカーにザグりコンバージョンし、見た目も普通のレスポールになりました(笑)
追記 ハムバッカーにコンバージョン!好みのサウンドに近づけるためにモディファイしてみた
ピックアップは元々ブリッジポジションに乗っていたGibosn T-Topとは別にもう一つ手に入れ、ネック側にも乗せてみましたが、しっくりこなくて…
かの有名な、トムホームズ(Tom Holmes)ピックアップを試してみました。
トムホームズピックアップは1990年代、PAFレプリカとしては最高峰と言われていたリプレイスメントピックアップ。当時はめちゃくちゃ高かったと聞いています…
試したTom Holmesピックアップはネック側にH450、ブリッジ側にはH455をチョイス。
音はどんな感じになったのか?動画を撮りましたので貼っておきます。
所長的に好きなサウンド、良い結果が得られましたが、他のピックアップもいろいろ試してみました。
国内未入荷のTone Specific Bloombuckerも試してみました。
今まで弾いてきたハムバッカーピックアップの中ではワイドレンジ、クリアなサウンドでありながら、どこからPAF系サウンドに感じました。
そしてこの記事を最後に更新した時点でのせているのが、ヤフオクでも出品されているこちらのピックアップです。
70年代当時のアルニコマグネット(アルニコ5)を採用した拘りのピックアップであり、ギターボリュームを絞った時もこもりにくく、癖の少ないアタッキングレスポンスに優れた印象がありました。
Tone Specific、もしくはこのCougen Koizumi Humbucker Pickups Alnico5でピックアップ探しの旅は終わりそうです(笑)
他にも試したおすすめのハムバッカーピックアップの記事で紹介しています。
併せてどうぞ!
さて、好みのサウンドに近づくピックアップは見つかりましたが、どうもしっくりこない。
ネック(フロント)ピックアップのサウンドは良いのですが、ブリッジ(リア)ピックアップの音がビシッとハマりません…
なんといいますか、中域に癖のあるサウンドでイマイチ、抜け切らないサウンドでして。
しかもある時から急に気になるようになりまして、ハンダやコンデンサーをかえてもダメでした、、
そんな時、友人のアドバイスでポットの抵抗値を測ってみたところ、おどろくべきことがわかりました…
音がしっくりこなかった原因はポットの抵抗値が異様に低かったから
ポットの抵抗値を測ってみたところ、なんと…80kΩ!
たしかにポットも古いもの(オリジナルではなく、76年製CTS)でしたが、ここまで抵抗値がかわっていたのは予想外でした。
試しに現行品のポット(抵抗値は480kΩ程度)に交換したところ…気になっていた癖がなくなり、抜けの良いサウンドに変わりました!
なぜこんなに抵抗値が下がってしまったのか…わかりませんが、盲点でした、、
結果的にネック、ブリッジともに現行品のポットに交換しました。
新しいポットはどうしても音が硬めになるため、片方だけ変えると違和感があったためです。
ポット交換後、ピックアップをTone Specific Bloombuckerで再調整したサウンドがこちらです。
このギターを手に入れてから、最も好みのサウンドに近づきました!
ピックアップをかえてもしっくりこない、そんな時はポットの抵抗値を測ってみるのも一つでしょうね。
ポットの抵抗値は手持ちの物を測り、最終的にネック側は516kΩ、ブリッジ側は485kΩの物をのせました。
ちなみにコンデンサーもいろいろ試した結果、王道ドンズバのバンブルビー(0.022uF、400V、PIO)へ、ハンダは60年代のAlphaでチューニングしました。
70年代のギブソンは一度弾いてみて欲しい!
僕自身、70年代のギブソンはイマイチ…といった、偏見を持っていた一人でした。
しかし、実際に何本か弾いてみて…好きな音が鳴る個体に出会う機会が多かったですね。
特に僕が今まで弾いた印象だと、70年代中期ごろまでのギブソンはもっと評価されても良い気がしています。
あとレスポールの場合、1969年を境目として…お値段が跳ね上がります、、
70年代のギブソンも値段が高騰しつつありますが、ヒスコレあたりと比べると安い(笑)
どっちが良い!というわけではなく、あくまで好みの問題ですが、もしヒスコレを買おうと思っている人であれば、この年代のギターを弾いてみて欲しいです!
探していた音を70年代のギブソンに見いだせるかもしれません!
余談 ~ファーストオーナーのお話~
このレスポールデラックス、1970年代に米軍基地などに出入りしていたプロの方が所有されていた物だそう。
様々な改造、チューニングの安定を図り、ペグをグローバー社製への変更していたり、リアがハムバッカーに変わっていたりするのも、現場で使う上で使いやすさを求めた結果だったんじゃないかなと。
木部のザグリも必要最低限だけなど、いろいろと考えられていたのも感慨深かったですね。
あくまで僕の妄想ですがその当時、ギターに込められた思い…みたいなものを感じれられた感慨深いギターです!
コメント
楽しく拝読させていただきました。
わたしも、72年製のレスポールを所有しております。
デラックスのサンバーストで
ミニハムがフルハムに改造されたものです。
当時のロックの音がして、
かなり気に入っております。
おっしゃる通り、70年代前半の
ギブソンギターはもっと評価されるべき……
と思っていましたら、
最近はそこに気づく人が(楽器店が)増えたようで、
どんどん値上がりしてますね。
レスポールマニアからは、未だに冷たい目で見られる、わたしのレスポールですが、
一生物と決め、愛情注いで弾いております。
青木さん
ありがとうございます^^
72年製のコンバージョンですか!
良さそうですね^^
そうですね…狙い目だった年代だったのですが、
値上がりしてきてしまいましたね、、
結局なところ、ご自身にとって、
最高なレスポールならそれで良し!ですよ^^
僕も愛情を注いでいきます。
最近tabretを買って、イロイロ見てたら、めに止まり
ま した。今後も、ご活躍お願いします。 les paulは、持っていませんが、コントラバスを、 boogie-studio22に、つないでクリーンに、弾いております。iRig,ピエゾ、MSP、など次々と、入れ込んでいるしだいです。元々guitarist?なんですが...。
ご覧いただきありがとうございます^^おぉ!その組み合わせ、どんな音がするのか気になります!何かしら…お役に立てるなら幸いです^^今後ともよろしくお願いいたします!
返信?ありがとうございました。只今15×2キャビネットの購入(接続)を検討しております。果たしてCbに必要なものか?ハウリングの大元になるのか?一応VOX(cho+reb)をパラで繋いでますが…オタク者でしたー。