ignition/of/mass-products// (以下、IOMP) の「Direction」はヴィンテージ「MXR Distortion+」の 開発意図を独自に解釈し、+αのアイデアが盛り込まれたペダルとのこと。
…で、実はこの「Direction」、プロトモデルを弾かせてもらっていました。
その時の印象として、「Distortion+がもう少しこうだったらいいな」という部分が盛り込まれ、ブラッシュアップされているペダルだな~と感じていました。
ただ、実際にヴィンテージの「Distortion+」が手元になく、記憶を頼りに判断したため、確証には至りませんでした^^;
そして今回、IOMPさんから「Direction」のサンプルになった、ヴィンテージ「Distortion+」(1974年製&1975年製)もお借りできました。
ヴィンテージ「Distortion+」のサウンドと比較しながら、「Direction」のサウンドをレビューしていきます。
ペダルレビュー
筐体は無塗装、サイズ感と質感から超武骨な感じがします。
大きさはBOSSのコンパクトペダルよりも少し大きいぐらい。
高さがあるので、エフェクターボードに入れたい場合、深さは必要かと (約8cmほど) 。
そしておそらく、この筐体の大きさも音に影響しているはずなので、意図してチョイスされているのでしょうね。
各ツマミ(コントロール)について
コントロールは「GAIN(ゲイン)」「VOL(ボリューム)」のツマミ2個だけですが、セッティングする位置次第で様々な使い方もできます。
そして「VOL(ボリューム)」のツマミには、「Murd-Mode」といったギミックが用意されているのも「Direction」の面白さ、魅力。
単なるディストーションペダルで終わらせない辺りが、IOMPさんらしいですね。
中身(基板)を拝見
中身(基板)を見ていきますと、Distortion+では使われていない、RCA 741がオペアンプに使われていますが、これも色々と試した結果、チョイスしたものだそう。
またポットやジャックなどパーツなどもこだわりの仕様。
個人的には電池を格納する部分にも嬉しい配慮が。
ジャックはトップジャックで外部電源(センターマイナス9V)も実装されています。
サウンドレビュー
今回、お借りしたヴィンテージDistortion+(74年製&75年製)と比較してみましたが、プロトタイプを弾かせてもらった時に感じた印象はズレていませんでした。
やはり、僕の思うDistortion+が「こうであったら良いな」という部分が昇華されたモデルに仕上がっていました。
「Direction」とVintage MXR Distortion+を比較!
では、お借りした74年製&75年製のDistortion+と「Direction」を比較した動画から。
Jakeさんの動画も紹介しておきます!
「Direction」とVintage MXR Distortion+と比較して
比較してまず感じたことが、74年製&75年製のDistortion+の 中間に位置するサウンドのようであり、各々の特徴を活かしつつ、チューンアップされているぞ、と。
…で、僕が「Direction」を弾いて気に入ったのは、
- ローミッドにパンチのある音で使える範囲が広い
- ギターボリュームを絞った時の音が腰砕けしにくい
- 「Murd-Mode」といった独自のギミックサウンドが魅力
といった点でした。
ローミッドにパンチのある音で使える範囲が広い
Distortion+の場合、ゲインのツマミを上げていく(だいたい3時ぐらい)と、高域が目立ってくる、ジャリつくようなサウンドになります。
これはバイト感のあるサウンドが、Distortion+の個性だと考えていますが「音が細くなった」という印象も同時に感じていました。
「Direction」はローミッドが張り出す感じ、飽和感を伴いながら、パンチのあるサウンドを基本としており、音が細くなるという印象がありませんでした。
特にゲインを上げていく(1時以降)に従い、この特徴は歪みと絡み合いながら顕著に現れてきます。
これは先ほどのDistortion+との比較動画で、ローミッド辺りを意識して聴いてもらえると面白いかも。
またゲインを上げていった時の飽和感、ムチっとした質感、ピッキングした時のバイト感も気持ち良いです。
ちなみに動画ではクリーンなアンプで鳴らしていますが、クランチさせたアンプに歪みの質感を足すような使い方もおすすめできます。
それとツマミは2個だけですが、ローゲインからハイゲインまで幅広くカバー、 ゲインの挙動と併せ、ボリュームを触りながら音を作っていけます。
また、ボリュームのツマミを上げていくと、高域が少しずつ張り出してくるため、トーンはありませんが、微妙な調整も可能です。
個人的にはボリュームは3時以降、ゲインは2時以降にセッティング、手元でコントロールしながら弾くのが楽しかったですね。
ギターボリュームを絞った時の音が腰砕けしにくい
Distortion+の場合、古いペダルためか、ギターボリュームを絞っていった時、少し腰砕けしたような…音の芯が少しぼやけるなぁと。
しかしこれが「Direction」は音の芯もあり、腰砕けしにくいため、音の芯が残る、原音感を感じることができます。
プリアンプ的にも使えるという話も聞いていましたが、確かにそういった使い方もできる懐の広さも感じました。
「Murd-Mode」といった独自のギミックサウンドが魅力
「Direction」の魅力、それがこの「Murd-Mode」です。GAINのツマミを左に回しきることで、このモードに切り替わります。
「Murd-Mode」ですが抵抗などを切ったような、解放的でかつ、ディストーションの域を超えた、ファジー&ノイジーなサウンドが出せます。
環境にもよりますが、何も弾かず、ミュートしている状態でもハウリングします。
このハウリング、嫌がる人もいるかもしれませんが、僕はこの制御できないような暴れ狂った音を使って、フレーズはできないものか?と想像力を掻き立てられました。
チョーキングした状態からフィードバックさせながらハウらせる、ハウリングも一部にしたリフは作れないか…などなど…
このサウンドを活かしたプレイをしたい!と考えたくなるほど、刺激的なサウンドでした。
あと、これだけ暴れてハウるのに、嫌なノイズの出方がしない、ピッキングしたニュアンスも殺されない点も良かったですね。
単にDistortion+の延長線上にあるだけのペダルだけだと、面白味に欠けてしまいそうなところを「Murd-Mode」があることで、独自性のある魅力的なペダルに仕上がっていました。
まとめ
この「Direction」、 使い勝手を考えた上でも実用性に高いペダルで気に入りました。
特に僕は「Distortion+」の物足りなさが改善されていること。それとトゥルーバイパス仕様になっている(※)ことも大きかったですね。
強いて気になった点を挙げれば、アウトプットレベルはそこまで高くないところぐらい。
しかし、そのことを補って余る「Murd-Mode」の存在感。
Distortion+を知っている人はもちろん、知らない人でも使っていただけるペダルではないでしょうか。
「CULT PEDAL SHOP」で販売しても即売れしてしまいますが 当方のレビューや動画を見て、良い印象を持たれた方であればぜひ、試してほしいペダルですね^^
Twitter:@i_o_mp
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